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アップル、グーグル、マイクロソフトの本質?

アップル、グーグル、マイクロソフトの3強の本質をマイクロソフトのCEOが解説したという、この記事。

MicrosoftのCEO、サティア・ナデラ、Apple、Googleと比較して自社の本質を的確に指摘

彼はAppleはデバイスを売る会社、Googleは検索エンジンの会社、マイクロソフトは開発する能力を与える会社だと言っていて、記事は本質を的確に言い当てているというような書き方になっているが、果たしてそうなのだろうか。むしろ殆どの人が違和感を感じるのではないかと思う。

マイクロソフトだけは誰かのためのプラットフォームを作っているんだ、みたいな言い方をしていて、ポーズなのかもしれないが、本質を語っているとは思えない。

自分が思うに、この3社は3社ともテクノロジーを売る会社なのだが、それぞれがテクノロジーを追求する目的がそもそもことなっているのであって、本質はこうではないかと思う。

 

アップルは、魔法を売る会社だ。

アップルはあらゆるテクノロジーを魔法でコーティングして出すことに長けていて、そもそも魔法を生み出したいという集団である。顧客はみなその魔法の一部になりたくて高い商品を買う。そういう意味ではこの会社はエレクトロニクス業界のディズニーである。魔法の化けの皮が剥がれたと感じさせたらこの会社はおしまいである。

しかしこれだけアップル製品が普及していても業務用の分野では依然としてアップルが普及しないのは、多くの人にとって魔法は不要なコストだから、ということに尽きるように思う。

 

グーグルは情報を売る会社だ。

この会社は人が知りたい情報を提供することを徹底的に追求していて、そのためのツールが検索エンジンだ。なので最悪検索エンジンがなくても情報さえ提供できれば会社としては存続意義があるが、実際には検索エンジンが無いとインターネットの情報の洪水の中では話しにならないので、やはり検索エンジンが大切な存在となる。そして人による情報の仲介を軸とするソーシャルはその対岸にある新型検索エンジンなので、ソーシャルをグーグルが欲しがるのは当然の成り行きということになる。

 

マイクロソフトは何だろう?自分はマイクロソフトは効率性を売る会社だと思う。

マイクロソフトの製品が今まで売れてきたのは、多少かっこ悪くても気にしない圧倒的な業務効率性を、誰でも簡単に扱えるレベル感で生み出してきたからだ。つまり新幹線ではなくて彼らは山手線をひたすら提供する。

マイクロソフトが落ち目になってきたのは、下手に「魔法」にあこがれてしまって、マイクロソフト製品も魔法を演出したいと思ってしまったことに尽きると思う。実際にはPCがなくなることはないのに、WindowsもOfficeも、中途半端な魔法へのあこがれのために、肝心の効率性の追求の部分がめちゃくちゃなことになってしまった。

彼らは徹底的にビジネス効率を追求してWindowsを設計するべきだったし、モバイルへの投資としてはNokiaではなくてBlackberryやMotorolaを買えばもっと良かったんじゃないかと思う。

若干リサーチ業界にも身を置いてきた人間としては、大量の調査予算を投入しているマイクロソフト社の調査依頼にたいして、リサーチ業界はいったいどんなアウトプットを返していたのだろうかとも思ってしまう。

 

己を知り、敵を知れば、百戦危うからず、というけれど、自分自身にしても、組織にしても、本当に己を知ることは難しい。