月別アーカイブ: 2013年1月

海外進出をまかせられた日本企業の日本人社員の一番大事な役割

北京のスターバックス

北京のスターバックス

日本企業が海外展開を迫られるなか、海外で事業立ち上げなどを任される日本人は今後もますます増えるのだろうと思います。

が、肩肘をはって、俺は海外でもやれるはずだ、その土地に骨を埋める覚悟で、とか、グローバルビジネスマンになるんだ、とか、そんなことは思わなくていいと思っています。

知らない土地に行くのに、そんな覚悟を決めるのは非現実的です。

大体、そんな覚悟を決めなければいけないような人はあまり海外に向いていないです。その人がやれることは、たいがい、現地の人にしっかりした給与と目標と権限をあたえてやってもらえば、その人よりもずっと上手にやるはずです。

あまりに仕事仕事と考えている生真面目な人ほど、プレッシャーと義務感、故郷に錦を飾るんだ、という感覚が強すぎて、気がつけば事務所とアパートの往復しかしていない日々を過ごし、本社の日本人との関係だけを頼りに何ヶ月も孤独に過ごすことになります。 肩肘をはらず、余暇をみつけてはいろんな地方を巡り、現地の人たちと友達になり、そういうスタンスを大事にしておかなければ、現地マーケットを知る人間になる、という、会社にとっても自分個人のキャリアにとっても一番大事なミッションを実現できないのは自明のことです。

それよりも、自分がさっさと日本に帰ってこれるように、信頼に足る優秀な人を採用するための権限規定と給与モデル、そしてどういう付加価値をそのマーケットで出していきたいのかという、事業ビジョンを明確にすることに全力を注ぐべきです。それが日本から出ていく海外進出隊長の、最大の役割です。

日本に進出してくる外資の社長が、日本人をさしおいて日本語も分からないのにガンガン営業に出ていって、自分の思い込みで捉えた市場環境を本社に報告していたらどう思うか?という問題です。余程優秀な外国人でもない限り、きっと、その外国人社長はとんちんかんなことばっかりやっているに違いないし、日本人スタッフはやることもないから辞めるでしょう。

日本企業の多くがこれをなかなかできないでいるのは、海外進出にあたっての明確な目標やビジョンを後回しにしており、そのために現地採用スタッフの達成すべき目標と成果報酬を決め、それを達成するための必要な予算と権限を与える、ということを実行するのが非常に困難だからです。

ですが、この壁を超えてグローバル標準でやるか、徹底的に日本型でやるのか、それをまず経営意思としてはっきりさせ、従業員にも理解させるのはとても重要なことです。

このようなことも、まだ海外に実際に行ってないこれからの人にはなかなか意味が理解できないと思いますが、少し頭の片隅に置いておいてもらうと、現地での仕事で行き詰まったときにも、明確なゴールが見えてきて楽になるときがくるのではと思います。

広告

広告モデルの違い:FacebookとGoogle

最近仕事の関係で広告業界の情報を大量にインプットし続けている。

モバイル領域の拡大とともに膨大な広告テクノロジーとスタートアップが新しく出て来ていて、既に業界関係者ですらその1つ1つの違いを理解するのが困難になってきていると思うが、ずっとトレンドを追っていると、結局、一部のニッチ領域を除き、市場自体は二つの企業によってその大半が専有されていくのだろうという、ある意味の諦め感というか、ゴールが見えてしまっているような感覚が生まれている。言うまでもなく、その2社は、GoogleとFacebook。

ただ、この2社の広告配信技術は、根本的に違う軸に基づくものなので、「どちらが覇者になるのか?」という議論が米国メディアでもよく取り上げられるが、いろいろニュース情報を見ているとどうやら行き着く先はそういうものでもなさそうだということで、両社の広告の特性が何なのか、備忘録を兼ねて整理してみた。

①広告配信のベースになるもの

Googleはクローラーが取得するテキスト情報とメタ情報。

Facebookはソーシャルグラフとユーザー属性。つまり人情報。

②広告配信先

Googleは静的な情報(ストック)に対して配信する。

Facebookは人(フロー)に対して配信する。

③広告配信方法

Googleは、Adsenseもあるが、基本的には能動的な情報検索アクションに対するレスポンスとしての配信である。

一方、Facebookは、属性とソーシャルグラフを元にしたプッシュ配信であり、ユーザから見れば受動的行動である。

 

細かな技術革新や買収、周辺領域サービスとの連携拡大などによって、2社の広告配信技術はどんどん変わっていくであろうけども、ベースがそれぞれ検索エンジンとソーシャルネットワークである以上、広告配信の発展の道も、基本概念は上記から殆ど変わらないのではないかと思う。

と捉えると、この2社の技術は、そのベースの発想や適性が異なるので、なかなか正面からぶつかることはないし、インターネット上に今後も膨大な数のサービスやサイトが生まれる中で、どちらかの技術で広告市場がdominateされるという事もなく、それぞれが、ストックとフローという、ネットの情報流通の中で絶対になくならない要素と密接にかかわり合った基幹広告インフラとして成長していく気がする。つまり、それぞれの得意領域で圧倒的に高い広告効果を出したとしても、相手の得意領域の中では、お互いになかなか勝てそうにない、ということ。

それにしても、今年のFacebookのモバイル向け広告ビジネスは段違いの成長となりそう。他の全ての広告テクノロジー会社の努力が霞んで見えるような成長を見せるのではないかという予感がしている。

日本の個人寄付市場拡大のカギを握る戦略は何なのか?

寄付集めの実績を誇らしげに掲げる寄付キャンペーン実施会社の看板@2012 NTEN in S.F.

寄付集めの実績を誇らしげに掲げる寄付キャンペーン実施会社の看板@2012 NTEN in S.F.

また、NPO/NGOと呼ばれる非営利業界のお話。

 

ちなみに、非営利業界というとそれは何を指しているのか、一体どういう企業体なのか、呼称として誤解/混乱を招きやすいので、僕は最近、パブリックセクター、という言い方をし始めている。

つまり、「公益」のための事業を行う民間団体なので、日本語にすれば民間公益業界、とでもなるかもしれない。

 

という前向きはともかく、最近始めようとしている、この、主に民間公益業界向けに提供していこうとしている事業の絡みで、一体、どういう水準の経済的成功をもたらせば、事業として成功基準と言えるのか?、ということを考えていた。

 

それを考えるとき、よく話しになるのが、日本では寄付市場が発達していないという話し。

引き合いとしてはよく、20兆円もの巨額な個人寄付マーケットが存在するアメリカが引き合いに出される。

そんなマーケットを比較に出されると日本だって3兆円5兆円みたいな世界にいけるのではないかとなんとなく安易な妄想に浸ってしまいそうになるが、果たして本当にそうか?、それは現実的なターゲットになりうるのか?、と思い、改めてラフではあるがマクロに分析してみることにした。

 

まず、寄付市場というとよくアメリカを引き合いに出すが、寄付がお祭り騒ぎすぎるし世帯の所得格差なども参考にならない新大陸国家なので、国の構造や文化として日本とより近い英国と比較してみる。

 

英国の寄付市場は2006年時点で1.5兆円。個人寄付はうち7割なので1兆円強である。

日本の市場は遅れていると言われているのだから、英国の2006年あたりと比較してもまずまず良い指標であろうということで、これをベースにしてみる。

 

そうすると、日本は人口は倍なので、単純計算して2兆円が寄付に行く余地があることになる。「文化の違い」を考慮して思い切り寄付率を差し引いて6掛けぐらいにしても1.2兆円ぐらいいけそうである。

実際には日本の寄付市場1兆円で個人寄付はうち5000億ぐらい。なので、追加で7000億円ぐらい引き上げる余地、つまり今の倍ぐらいに行くポテンシャルは本来あるということになる。でも、逆にいうと、3倍はともかく、4倍いくかどうかは微妙、ということでもある。こう見てみると、米国との比較なら50倍15倍に伸びる必要があるが、それはかなり夢物語だなあ、という現実ラインが見えてくる。ちなみにオンライン寄付額が、米国と同様の5%程度になるとすると、オンライン寄付市場は350億円ぐらいのマーケットになる。

 

次に、実際に誰が寄付するのか、ということを考えてみる。

もちろん、大学生以下に寄付を期待することはできない。ということで、日本の25才以上の人口は9500万人ぐらい。これがまず母体である。うち、子どもが社会に出て寄付余力がありそうな50才以上の人口は6000万人になる。よく言われるように、ここの年代がどんどん増えているのが日本の人口動向だ。

 

最後に、それらの寄付母体に対してアプローチすべき手段を考える。

いま、寄付文化を作ろうという動きがあるがそのメインはオンラインやソーシャルでの取組みばかりだ。オンラインサービスが発達して誰でも意思さえあればネットにアクセスできる時代がきているのだからこれは至極当然の流れである。

ただ、冷静に考えてみると、現時点でネット上の小難しい寄付サービスが、ターゲットに出来そうな25才〜39才の人口は2500万人しかいない。

その10%が継続的な寄付人口になるという驚異的な結果が仮に生まれたとしても、寄付余力としては年間5000円程度が関の山なので、総額で125億円の増加にしかならない。単純計算しても仕方ないが、これを全国5万の非営利団体が分かち合うと、なんと1団体あたり、25万円にしかならない(!)。

となると、いまの、クラウドファンディングだなんだという騒ぎは、この20-30代へ主にアピールしているため(しかできないため)、この25万円を分捕り合うための仕掛けにしかなっていないのだ、と考えてもそんなにズレは無いのではないだろうか。個々の団体でたまに成功事例があったとしても、トータルで考えればなかなか厳しい取りくみである。

 

実は、本当に寄付マーケットを伸ばしたければ、残りの7000万人。特に50代以上の支出余力がある6000万人の中高齢者マーケットにどうリーチし、寄付行為に対するどういうインセンティブを与えるのか。そこをソフトランディングさせる手段を考えなければ出口が無いのではないだろうか。

オンラインでの寄付募集活動以外に目立った突破口が見えない中、一方で大きな財布を持っているのは中高齢者であるというギャップにどうアプローチできるか。

テクノロジーソリューションの提供サイドにいる我々世代は、これを考えないといけない。

それが今日のところの結論。