タグ別アーカイブ: 日本企業

“海外事業”の型、人材、展開タイミング

Airport take off by Christian Haugen

Airport take off by Christian Haugen

国内からスタートして、後からグローバル展開する事業には主に2つの型があるようだ。

M&A戦略による取り込み型を除くと、自社展開としては1つは既存商品の営業範囲を広げるだけ、というレバレッジ型の事業。もう1つは、新規に商品から作っていく事業。この2つは、同じグローバル展開でも全然違う。

前者は、まず商品に対する投資がほぼ必要なく、いきなり販売を開始できる。つまり原則的には日本のコピー版組織を営業面にフォーカスして作っていけばよく、黒字化しやすく、ニーズのある無しも比較的早期につかみやすい。

後者は、商品から作る必要があり、かつ、現地需要に合わせていく必要がある。これは現地事情を肌感で理解できない「外国人」には基本的にハードルの高い作業となるし先行投資がかかるので重たい。

従って、この2つについては、投入するべき人材も違うんだなと、いろいろな会社の事例を見ていて感じる。

前者は勢いのある若手人材を抜擢するのが良さそう。シニアよりも若手が必要なのは、既存概念にとらわれることなく攻撃的にアカウントを開拓し、新しいニーズも拾いやすいから。根本的な商品価値は既に完成されているから、このほうが商品力を拡大する上でも意味がある。

後者については、可能な限り国内事業で大活躍した実績のあるエースクラスを当てるべきだと感じる。これにはいろいろな理由があるがまずそもそもニーズの把握から行う必要があるので経験値の高い人材のほうがどこにニーズがあるかを把握し、必要な事業スキームを組むなど、ゼロからある程度合理的だと考えられる形を作るのに短い時間で作りやすい。そもそもシニア人材でなければ現地の重要顧客が会ってくれない。などの理由がある。それに、海外展開するときにつきものになるリーガル対応、資金繰り、採用なども、シニア人材のほうが勘所があるから新規事業にあわせて作り上げていける。

しかし、エースクラスを投入する最も重要な意味は、所詮、グローバルでの事業展開という戦略が、国内でも熾烈な競争の中で日々奮闘している人達にはお遊びに見えてしまいがちなところを、それを、実績のあるエースが自らやっているという構図であれば、納得感も、恊働感も出せるというところかなと。

基本的にどのような会社にとっても、海外展開といっても社員にはピンとこないのが殆どの人の感覚だと思う。

良くて「ふーーん」、普通は「そんなこと必要あるの?」「もうかるの?」とみな内心思っているはず。

日本は国内市場が大きいし、何よりもそこには緊急性の高い課題が多いのだから、その反応は当たり前だと思う。

「そうだよ、やるべきだよ!」などと思う人はむしろ頭がおかしいか、海外バカか、状況を把握できていないだけかもしれない。

海外で事業を展開する人達は、そんな反応は当たり前のことだと思った上で、そんな反応をものともせずに、新しく独立した別会社、別チームを創業していく気合いが必要。

 

というわけで結論、ゼロベースの事業を作っていくならエースクラスな人がどんどん海外の成長市場に出ていき(海外がその会社にとって重要な成長市場だと思うなら、ですが)、自ら大きな布石を敷いていくべきだと感じる。そしてそこで得た体験を国内に持ち帰り、次のエースに伝えていく役割があるように感じるこの頃。

事情があって、エースクラスでそれができなければ、トップが自分で行くしかなさそう。つまりそれが出来るタイミングがグローバルに出て行く絶好のタイミングかもしれない。

海外進出をまかせられた日本企業の日本人社員の一番大事な役割

北京のスターバックス

北京のスターバックス

日本企業が海外展開を迫られるなか、海外で事業立ち上げなどを任される日本人は今後もますます増えるのだろうと思います。

が、肩肘をはって、俺は海外でもやれるはずだ、その土地に骨を埋める覚悟で、とか、グローバルビジネスマンになるんだ、とか、そんなことは思わなくていいと思っています。

知らない土地に行くのに、そんな覚悟を決めるのは非現実的です。

大体、そんな覚悟を決めなければいけないような人はあまり海外に向いていないです。その人がやれることは、たいがい、現地の人にしっかりした給与と目標と権限をあたえてやってもらえば、その人よりもずっと上手にやるはずです。

あまりに仕事仕事と考えている生真面目な人ほど、プレッシャーと義務感、故郷に錦を飾るんだ、という感覚が強すぎて、気がつけば事務所とアパートの往復しかしていない日々を過ごし、本社の日本人との関係だけを頼りに何ヶ月も孤独に過ごすことになります。 肩肘をはらず、余暇をみつけてはいろんな地方を巡り、現地の人たちと友達になり、そういうスタンスを大事にしておかなければ、現地マーケットを知る人間になる、という、会社にとっても自分個人のキャリアにとっても一番大事なミッションを実現できないのは自明のことです。

それよりも、自分がさっさと日本に帰ってこれるように、信頼に足る優秀な人を採用するための権限規定と給与モデル、そしてどういう付加価値をそのマーケットで出していきたいのかという、事業ビジョンを明確にすることに全力を注ぐべきです。それが日本から出ていく海外進出隊長の、最大の役割です。

日本に進出してくる外資の社長が、日本人をさしおいて日本語も分からないのにガンガン営業に出ていって、自分の思い込みで捉えた市場環境を本社に報告していたらどう思うか?という問題です。余程優秀な外国人でもない限り、きっと、その外国人社長はとんちんかんなことばっかりやっているに違いないし、日本人スタッフはやることもないから辞めるでしょう。

日本企業の多くがこれをなかなかできないでいるのは、海外進出にあたっての明確な目標やビジョンを後回しにしており、そのために現地採用スタッフの達成すべき目標と成果報酬を決め、それを達成するための必要な予算と権限を与える、ということを実行するのが非常に困難だからです。

ですが、この壁を超えてグローバル標準でやるか、徹底的に日本型でやるのか、それをまず経営意思としてはっきりさせ、従業員にも理解させるのはとても重要なことです。

このようなことも、まだ海外に実際に行ってないこれからの人にはなかなか意味が理解できないと思いますが、少し頭の片隅に置いておいてもらうと、現地での仕事で行き詰まったときにも、明確なゴールが見えてきて楽になるときがくるのではと思います。