日本の朝と「社畜予備軍」を生産する仕掛け

日本の会社員の朝は遅い。

ちょっと以前は大半の会社が9時出社だったと思うが、大半の人がほぼきっかり9時に出社しようとする。朝は少しでも眠っておこうということだ。

これが最近は9時15分、9時30分、10時と、どんどん遅くなっている。朝の出社時間が遅くなることで喜んでいる若い人は多いと思う。逆に今の時代に9時出社ということでは採用も苦戦しそうな状況だ。

しかしよく考えてみると、朝の出社時間が遅くなるということは、そのまま夜の退社時間の定時も遅くなるということになる。ワークアンドライフバランスが叫ばれているご時世であり、社畜、ブラック企業などという言葉が氾濫していながら、退社時間が遅くなり、ゆったりとしたプライベート時間を持てる時間を削るような仕掛けを歓迎していては、何にしても夜型になりがちな若いうちはともかく、長い目で考えれば自ら仕事とプライベートのバランスを取れない状況に追い込んでいるようなものだと考えたほうがいい。

以前アメリカで仕事をしたときには、17時にはほぼ全員が退社。まだ外が明るい18時ごろには家族や友人とレストランで食事を楽しんだりコンサートに出かけたり、といった光景が日常だった。

でもその代わり彼らの朝は早く、8時や7時に出勤してくる。家に書斎がある場合も多いので、レジャーを楽しんだ後に自宅で仕事、という人も多かった。自分で自分の時間が持てるようにコントロールしている人は多い。

一方、何をバランスしたいのかは人それぞれだと思うが、例えば19時に退社すると、自宅に着くのは20時。そこから楽しめる家族との時間はせいぜい2-3時間。子どもとの会話は殆ど持てないし、夕食を食べる時間も非常に遅くなる。結局、18時ぐらいから21時ぐらいまでの間にどれだけ仕事以外のことに集中する時間を自分次第で持てるかどうかが、クオリティオブライフの向上にはとても大事なことではないかと思う。

朝、遅く出社するとすぐにお昼の時間になるので本来もっとも生産性が良いはずの午前中に、生産量の最大値が物理的に削られている。仲間と一緒にお昼を食べに出かければ眠くなるので午後の生産性も低い=仕事が遅くなり、帰れない。

定時が何であれ、仕事が遅くまでかかってしまうことは常ではありつつ、規定の出社時間が遅いことをもって会社が提供してくれた福利厚生的なものだと考え、嬉しいと考えるのは、「私はこれから社畜になります」と言っているようなものだと、若い人は認識したほうが良いと思う。

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