Googleの新しいプロジェクト、Project Loon。
また、グーグルにガツン!とやられた感覚をもったIT業界の人は大勢いるんじゃないでしょうか?一体自分たちは何をやってるんだろう?自分がやっていることに一体どれだけの人生を賭ける意味があるんだろう?なんて。
グーグルは、世の中の大半を占める我々中途半端な人種に、どれだけ無力感を与えるつもりなんでしょうね?w 最早その辺で野菜の露地栽培でもやって細々と暮らしていいのではないか?という気になりますが、まあそんなことを言っていても仕方ないので、無力は無力なりに前に進んで、神が作ったインフラの上で、神の手には負いきれないエリアで遊ばせてもらうしかありませんね。
ところで、こうネットサービスのグローバル化が進んでくると、IT企業もやはり海外に出て行かなければ成長機会を失う、と感じるわけで、相変わらず多くの企業が海外進出を企画しています。
が、アジアに出て行く日本企業の多くが、どうも、「アジアなら何とかなるかも」という感覚で出て行くように思います。
それは、日本企業のほうがアジア企業よりは金もあるし、技術も、ノウハウもある、という無意識の前提がそこにあります。
もしかするとそれは一部正しいのかもしれませんが、「現地を知らない」「現地語が分からない」というハンデを考えれば、そんなアドバンテージは殆ど何の役にも立たないのが現実だと思います。
実際、資金があまりかからないという点についても、「当の日本人自身がめちゃめちゃ金食い虫である」という事実を都合良く棚上げしています。日本人の給与をかんがえると、アジアの平均的会社員の20人分は働く必要があります。いくら日本人が優秀でも結構大変なことです。
そして、もっと多くの日本企業が忘れがちだと感じるのが、「美味しそうなところには欧米勢も目をつけている」という事実です。今であれば、日本企業よりも資金力を持った中国企業や韓国企業が同列に参戦してきています。彼らの投資は日本企業よりも余程組織的であり、必要な準備を整えた上で、一気に攻めてきます。浪花節でなんとかなるものだと考えている会社は殆ど無いんではないでしょうか。
ところが、多くのIT系の日本人と海外市場について話していて、欧米の企業のことが話題になることは殆どありません。サービス提供側も、広告主も、全てにわたって欧米ブランドが大量の資金を動かしているのに、です。
例えば、海外調査をして、この国の◯◯の市場は100億円市場だとする。
ですが、そのうち90%は欧米企業の予算だったりする。
これを取りにいかなければ、のこり10億円市場を他の日本企業やローカル企業と三つどもえで争うことになる。厳しい戦いです。
日本人は、ローカル企業の手が届かない一部のエリアにおいては、アジアにおいて自分達がマスターになりえると思いがちですが、そういったインターナショナル系事業における真のマスターは欧米勢であり、欧米勢に勝たなければ真の成功は得られない市場が大半を占めると思います。特にソフトサービス、情報サービスの戦場は、欧米勢の独壇場です。
欧米勢は侮り難いです。彼らの侮り難さの背景には、巨大な資金力、超大型予算を持つグローバル企業とのネットワーク力、情報発信戦略への理解とそれによる強力なブランド力、そしてグローバル展開を現実のものにする人事組織力があります。特に後者2つは日本企業が極めて軽視する分野ですが、実際にはここで負けるとほぼ勝ち目がありません。
日本人がそこに勝つには、アジアにおいて同じ想いを持つアジアの人たちを味方につけ、運命共同体としてお互いに教えを請いながら、一緒になって戦うしかありません。
そして、単にアジアで勝つことではなく、強力な欧米勢を圧倒するつもりで事業展開するビジョンと、そこに対する確信が必要です。ここに賛同してくれる挑戦的なアジアの人はどの国にも少なからず確実にいるというのが自分の印象です。
自分自身、海外事業の立ち上げを行ったときには、実際に展開してみると、すぐにそれが「グローバルビジネス」であることが分かりました。つまり、グローバルプレイヤーとのガチンコの戦いだった、ということです。
僕らが追い求めていたのは、本格的なビジネスだったので、一貫して、自分たちが攻めているエリアにおける圧倒的No.1になり、グローバルプレイヤーを駆逐するつもりでやっていました。
注意しなければいけないのは、欧米系の企業を相手に戦っていると、あたかも、遠く欧米からやってきた白人を相手にしているのかと思いがちですが、実際に相手にしているのは、彼らに高給で採用された、各国の超優秀な幹部社員であることが多い、ということです。
つまりブランドこそグローバル企業ですが、中身は最優秀なローカル企業だったりします。実態がどうなのか、よく見極める必要があります。
よく、同じアジア人である日本人の我々にはカルチャー理解という点でアドバンテージがあると思いがちですが、そんなことを持ち出すと、失笑されるだけ、ということです。
自分達が置かれていたステージを考えれば、圧倒的No.1を目指すなんてことは滑稽なアイデアだったかもしれないですし、実際内外からそう言われることもよくありました。社内ですら無理だという悲観的な空気は頻繁に出ていました。が、こちらは大真面目で考えていたし、それが出来ることについての確信もありました。出来ない理由ではなく、それを可能にするための施策だけを考えて進めていたわけです。
海外畑から離れてもう1年以上経ちますが、あらためて、アジアに出て行くのであれば、欧米勢についてもよく調べて、彼らに本気で勝つための戦略を考え、アジア人同士で結束して、自分たちが定めたエリアで世界一になる、というビジョンを持って出て行ったほうがよい、と思います。
そういう意味では、よく外野の批判にさらされるサッカー日本代表と、海外に出て行く日本人ビジネスマンは共感できるポイント多いんじゃないかと。
頑張れ日本代表!
最近自分がヒットした動画です。川崎選手ホントにかっこいいですね!
まあビジネスなので、上手にできることにこしたことはないわけで、こんな正面衝突戦略には異論もあると思いますが、どうでしょうか。