日本の個人寄付市場拡大のカギを握る戦略は何なのか?

寄付集めの実績を誇らしげに掲げる寄付キャンペーン実施会社の看板@2012 NTEN in S.F.

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また、NPO/NGOと呼ばれる非営利業界のお話。

 

ちなみに、非営利業界というとそれは何を指しているのか、一体どういう企業体なのか、呼称として誤解/混乱を招きやすいので、僕は最近、パブリックセクター、という言い方をし始めている。

つまり、「公益」のための事業を行う民間団体なので、日本語にすれば民間公益業界、とでもなるかもしれない。

 

という前向きはともかく、最近始めようとしている、この、主に民間公益業界向けに提供していこうとしている事業の絡みで、一体、どういう水準の経済的成功をもたらせば、事業として成功基準と言えるのか?、ということを考えていた。

 

それを考えるとき、よく話しになるのが、日本では寄付市場が発達していないという話し。

引き合いとしてはよく、20兆円もの巨額な個人寄付マーケットが存在するアメリカが引き合いに出される。

そんなマーケットを比較に出されると日本だって3兆円5兆円みたいな世界にいけるのではないかとなんとなく安易な妄想に浸ってしまいそうになるが、果たして本当にそうか?、それは現実的なターゲットになりうるのか?、と思い、改めてラフではあるがマクロに分析してみることにした。

 

まず、寄付市場というとよくアメリカを引き合いに出すが、寄付がお祭り騒ぎすぎるし世帯の所得格差なども参考にならない新大陸国家なので、国の構造や文化として日本とより近い英国と比較してみる。

 

英国の寄付市場は2006年時点で1.5兆円。個人寄付はうち7割なので1兆円強である。

日本の市場は遅れていると言われているのだから、英国の2006年あたりと比較してもまずまず良い指標であろうということで、これをベースにしてみる。

 

そうすると、日本は人口は倍なので、単純計算して2兆円が寄付に行く余地があることになる。「文化の違い」を考慮して思い切り寄付率を差し引いて6掛けぐらいにしても1.2兆円ぐらいいけそうである。

実際には日本の寄付市場1兆円で個人寄付はうち5000億ぐらい。なので、追加で7000億円ぐらい引き上げる余地、つまり今の倍ぐらいに行くポテンシャルは本来あるということになる。でも、逆にいうと、3倍はともかく、4倍いくかどうかは微妙、ということでもある。こう見てみると、米国との比較なら50倍15倍に伸びる必要があるが、それはかなり夢物語だなあ、という現実ラインが見えてくる。ちなみにオンライン寄付額が、米国と同様の5%程度になるとすると、オンライン寄付市場は350億円ぐらいのマーケットになる。

 

次に、実際に誰が寄付するのか、ということを考えてみる。

もちろん、大学生以下に寄付を期待することはできない。ということで、日本の25才以上の人口は9500万人ぐらい。これがまず母体である。うち、子どもが社会に出て寄付余力がありそうな50才以上の人口は6000万人になる。よく言われるように、ここの年代がどんどん増えているのが日本の人口動向だ。

 

最後に、それらの寄付母体に対してアプローチすべき手段を考える。

いま、寄付文化を作ろうという動きがあるがそのメインはオンラインやソーシャルでの取組みばかりだ。オンラインサービスが発達して誰でも意思さえあればネットにアクセスできる時代がきているのだからこれは至極当然の流れである。

ただ、冷静に考えてみると、現時点でネット上の小難しい寄付サービスが、ターゲットに出来そうな25才〜39才の人口は2500万人しかいない。

その10%が継続的な寄付人口になるという驚異的な結果が仮に生まれたとしても、寄付余力としては年間5000円程度が関の山なので、総額で125億円の増加にしかならない。単純計算しても仕方ないが、これを全国5万の非営利団体が分かち合うと、なんと1団体あたり、25万円にしかならない(!)。

となると、いまの、クラウドファンディングだなんだという騒ぎは、この20-30代へ主にアピールしているため(しかできないため)、この25万円を分捕り合うための仕掛けにしかなっていないのだ、と考えてもそんなにズレは無いのではないだろうか。個々の団体でたまに成功事例があったとしても、トータルで考えればなかなか厳しい取りくみである。

 

実は、本当に寄付マーケットを伸ばしたければ、残りの7000万人。特に50代以上の支出余力がある6000万人の中高齢者マーケットにどうリーチし、寄付行為に対するどういうインセンティブを与えるのか。そこをソフトランディングさせる手段を考えなければ出口が無いのではないだろうか。

オンラインでの寄付募集活動以外に目立った突破口が見えない中、一方で大きな財布を持っているのは中高齢者であるというギャップにどうアプローチできるか。

テクノロジーソリューションの提供サイドにいる我々世代は、これを考えないといけない。

それが今日のところの結論。

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